|
シネカノン&井筒監督だから作れた映画。 「パッチギ!Love and Peace」 井筒和幸監督、井坂俊哉、西島秀俊、中村ゆり、藤井隆ほかが出演 物語:前作から6年。在日青年アンソンと桃子の間に産まれた息子チャンスは、筋ジストロフィーに侵されていた。(桃子も白血病で他界)。チャンスの病気を治すため上京したアンソン一家は、枝川にある知り合いの家に身を寄せ、サンダル工場で働いていた。治療費は高額で、アンソンは日本人の友人・佐藤(藤井隆)と危険な仕事に手を出す。またキョンジャは芸能界に入るが、そこでも様々な在日差別に直面する。身体を張って映画のヒロインの座を射止めたものの、それは戦争賛美映画だった。 感想:数々の賞を総舐めにした『パッチギ!』の続編。私は前作をとても評価している。 惚れこんだ勢いで、井筒監督が出席する映画上映会にも出かけ、お話もし、図々しくサインまでもらってしまった(笑) 前作が公開された04年頃、世間は朝鮮バッシングの最中だった 北朝鮮のマスゲームやら大袈裟な語り口のニュース番組といった異様さを強調する映像ばかりが流され、その影響で朝鮮学校に通う女子生徒のチョゴリが切り裂かれるといった在日の子ども達への暴力増加は見過ごされた。 東京都が枝川にある朝鮮学校に立ち退きを迫ったのも同時期だ。 文部科学省がインターナショナルスクールなどの外国人学校卒業生には国立大学の受験資格を一律に認めながら、朝鮮学校卒業生だけは外すということも起きた。 拉致という人権侵害に怒る人々は、在日コリアンの人権侵害には鈍感であり、そのことが罪もない在日の子どもたちへの様々な暴力をはびこらせたのだと思う。 人権派の識者が発言さえしにくくなっていたこの時期に『パッチギ!』は公開され、どんなに言葉を尽くして語っても、伝えられないメッセージを、本当にパッチギでぶつけていた。 「歴史は良く知らないけど、とりあえず北朝鮮は怖い」くらいの感覚の人からも涙をもぎ取る映画だった。 「芸の力」を見せられたと思った。 それを支えていたのは、もちろん前作の映画としての質の高さだ。 特に重要なのはバランス感覚だろう。 メッセージを発しながらも、大多数の観客から浮き上がらないことが前作ではできていた。 続編である今作。 監督の思い入れは分かった。スケールもアップしている。 しかし一作目は越えられなかったと思う。 まず監督独特の、場面展開の唐突さやぶつ切り感が目について、 物語りに入り込めなかった。 その理由は、今回の話が時代も国も違う二つの物語を描いていることにもあると思う。 後半、アンソンの父の話としてパラオでの戦闘シーンがたくさん出てくる。 井筒監督が「戦争」を撮ったのは初めてじゃないかな? 暴力を描き続けてきた井筒監督の戦闘シーンはかなりグロく、生々しい。 侵略した国の人々に対して日本軍が押し付けてきたものも、残酷だ。 南の島に突如現れた鳥居や日本語の異様さがよく表現されている。 …しかし、そういう場面が、なんだか受け付けられなかった。 妊娠してから戦闘シーンへの嫌悪感が強く、超平和主義者になっているせいなのかもしれない。 逆を言えば、それだけ出来が良かったということなのかも。 でも、前作の地に足がついた感じが今回はなかった。 もしかして監督は自分が体験してないものを描くのが苦手なんじゃないだろうか… 前作は1960年代の京都という監督が生きた時代の話だった。 私はその時代を知らないが、映画を通じてその時代の空気が十分、伝わってきた。 今回は1970年代の東京と、1940年代の済州島、パラオが舞台だ。 両方の空気までは伝わってこなかったなぁ。 あと、歴史を知らない人には説明が不十分ではないだろうか。 登場人物のキャラも、前作は高校生だから口より拳が先に出るのも納得できた。 しかし、父親になったアンソンが多少落ち着いたとはいえ、相変わらずケンカに走る姿にはとても共感できない。 しかも、病気の子どもを怖がらせるなんて…「いーかげんにせい!」と思ってしまう ![]() 暴力という手段を取るしかない哀しさや‘やるせなさ’を描く手もあったと思うが、 そんな意図は見えなかった。 ところで、完成披露試写で井筒監督は石原慎太郎が製作総指揮した映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』を批判したという。 『俺は…』に出演した窪塚くんが、「見る前に言う奴はアホ」って応酬していた。 私も石原は大嫌いだが、観てない映画を批判するのは確かにどうかと思う ![]() 石原が都知事だろうが、映画として面白くなければ失敗するんだからわざわざ口で言わなくても映画で勝負すればいいことだと思う。 期待が大きかった分、評価が厳しくなったが、決して駄作ではない。 こんな映画はシネカノンだからこそ出来たんだと思うし。 キャストで言えば、藤井隆はかなり頑張っていた。 涙も笑いも、美味しいところは彼が盗っていっていたと言えるくらい。 チャンス役の子も確かに上手い! 前回マドンナだったキョンジャは今回はちと汚れ役。 沢尻エリカのキャラならはまっていたと思うけど、今さらこんな役には出ないのか…? 追記:新聞で知りましたが、ヒロインの中村ゆりは父が在日3世、母が韓国生まれだということです。「出身を隠すつもりはないけど、わざわざ『在日です』と主張することもない」として、日本名で通したそうです。 |
| << 前記事(2007/05/09) | トップへ | 後記事(2007/05/30)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|---|
パッチギ! LOVE&PEACE
アル・パチーノは朝鮮人だった!! ...続きを見る |
ネタバレ映画館 2007/05/18 12:50 |
『パッチギ! LOVE&PREACE』
監督:井筒和幸 CAST:井坂俊哉、中村ゆり 他 ...続きを見る |
Sweet* Days** 2007/05/19 19:15 |
『パッチギ LOVE&PEACE』
『パッチギ LOVE&PEACE』主人公の名前や設定だけ引き継いでの新しいオリジナルストーリーだと思って観ていました。途中、前作のアンソンの彼女・桃子(楊原京子)の写真から、あれあれ!? となって、前作と同じ登場人物の、その後の話なのだとやっと気づきました(^_^;) メイ.. ...続きを見る |
試写会帰りに 2007/05/19 22:58 |
「パッチギ! LOVE&PEACE」:兜町バス停付近の会話
{/kaeru_en4/}東京証券証券取引所かあ・・・。 {/hiyo_en2/}戦後日本経済の心臓部ね。 {/kaeru_en4/}でも、日本の高度成長の中で取り残されてきた人々もいるんだぜ。 {/hiyo_en2/}例えば? {/kaeru_en4/}例えば、在日朝鮮人の人々とか。 {/hiyo_en2/}井筒和幸監督の「パッチギ!」に出てきたような人たち? {/kaeru_en4/}ああ、朝鮮人少女と日本人高校生の愛を描いた「パッチギ!」。あの続編が「パッチギ!LOVE&PEACE」だ。... ...続きを見る |
【映画がはねたら、都バスに乗って】 2007/05/20 10:22 |
パッチギ!LOVE&PEACE
あまり自分の趣味ではない感じではあるんだけど、他に見たいものがなかったのと、井筒監督作品に興味があったので。 ...続きを見る |
いいかげん社長の日記 2007/05/20 10:23 |
パッチギ!LOVE&PEACE
...続きを見る |
Aのムビりまっ!!!(映画って最高☆) 2007/05/20 11:43 |
パッチギ!LOVE&PEACE 完成披露試写会
4月4日(水)@新宿バルト9 完成披露試写会 ...続きを見る |
シュフのきまぐれシネマ 2007/05/20 15:53 |
「パッチギ!LOVE&PEACE」死にに行く事は愚かだ!生きる事こそが戦いだ!
「パッチギ!LOVE&PEACE」は2005年1月に公開された「パッチギ!」の続編で6年後の1974年を舞台に描かれており、在日韓国人の家族が東京に移り住み、そこで小さな子供が病気になり、その病気を治したいと奔走する家族の姿が描かれている。父の世代の戦争での出来事... ...続きを見る |
オールマイティにコメンテート 2007/05/20 23:41 |
映画「パッチギ!LOVE & PEACE」
監督:井筒和幸 出演:井坂俊哉、藤井孝、風間杜夫、手塚理美、中村ゆり、西島秀俊、国生さゆり、 ...続きを見る |
日々のつぶやき 2007/05/21 18:00 |
【2007-69】パッチギ! LOVE&PEACE(ラブ&ピース)
生きぬくんだ、 どんなことがあっても。 ...続きを見る |
ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!... 2007/05/21 19:48 |
エリカ「あたしクラス、こんな役やれない!!」
[映画]パッチギ! LOVE&PEACE 前作の大ヒットを受けた第2弾は、「笑いと涙の極上エンタテインメント!」だそうです。 あらすじを簡単に 舞台は前作から6年後の1974年、アンソン一家は息子チャンスの治療のため、京都から東京へ居を移していた。 チャンスの ...続きを見る |
お父さん、すいませんしてるかねえ 2007/05/21 20:03 |
パッチギ!LOVE&PEACE
こんにちは。タテコです。 先週公開になりましたこの映画、 みなさんは、もう見まし... ...続きを見る |
タテコのenjoyエンタメ日記 2007/05/21 22:25 |
パッチギ!LOVE&PEACE
こんにちは。タテコです。 先週公開になりましたこの映画、 みなさんは、もう見まし... ...続きを見る |
タテコのenjoyエンタメ日記 2007/05/21 22:27 |
映画 【パッチギ!LOVE&PEACE】
映画館にて「パッチギ!LOVE&PEACE」 ...続きを見る |
ミチの雑記帳 2007/05/22 09:19 |
パッチギ! LOVE & PEACE
前作ほどのインパクトはなくても, 確かな家族愛は,気持ち良い後味を残す。 ...続きを見る |
Akira's VOICE 2007/05/22 12:36 |
パッチギ! LOVE&PEACE
パッチギ! LOVE&PEACE (監督:井筒和幸) 2007年5月19日 劇場初公開 公式サイト: http://www.pacchigi.jp/loveandpeace/ ...続きを見る |
映画と本と音楽にあふれた英語塾 2007/05/22 20:38 |
ラストチャンス
『パッチギ! LOVE&PEACE』を観た。 とてつもない問題作。 井筒監督にこんな作品を作らせるほど、観客は骨抜きになってしまったのか。 物語に描かれる“愛と平和”は驚くほどチープ。 対して徹底的にリアルで救いがない“憎悪と戦争”。 人間不信度数は『.... ...続きを見る |
ふかや・インディーズ・フィルム・フェステ... 2007/05/23 16:30 |
映画「パッチギ!LOVE&PEACE」
LOVE&PEACEになっても、結局始まりは暴力シーンなんだよねぇ・・アリランもいいけど、前作での"イムジン河"がとっても良かっただけに熱唱なくて残念・・ ...続きを見る |
茸茶の想い ∞ 〜祇園精舎の鐘の声 諸行... 2007/05/26 13:25 |
パッチギ! LOVE & PEACE
前作品「パッチギ! 」は物凄く評判が良かったですよね。 その続編のこの作品の完成披露試写会にアメーバブログさんから ブロガーとして招待して頂きました、バンザイ!\(^0^)/ 会場は悪天候にもかかわらず、大勢のマスコミや関係者で大賑わい。 ロビーでは楽団が、この作品 ...続きを見る |
映画、言いたい放題! 2007/05/27 04:26 |
パッチギ! LOVE
期待値: 63% 井筒和幸監督作品 パッチギの続編。 井坂俊哉 、中村ゆり 、西島秀俊 、藤井隆 ...続きを見る |
週末映画! 2007/05/28 21:55 |
パッチギ! LOVE
期待値: 58% 井筒和幸監督作品 パッチギの続編。 井坂俊哉 、中村ゆり 、西島秀俊 、藤井隆 ...続きを見る |
週末映画! 2007/06/01 18:35 |
あの素晴らしいパッチギをもう一度w『パッチギ!LOVE & PEACE』
舞台挨拶に行けなかった映画って、基本的にレンタル待ちか最悪見ないんだけど、これは観た(爆)乱闘のシーンのエキストラ、徹夜じゃなかったら参加したかも(笑)『パッチギ!LOVE & PEACE』チェック:大ヒット作『パッチギ!』のキャストを一新し、さらにパワーアップ.... ...続きを見る |
|あんぱ的日々放談|∇ ̄●)ο 2007/06/04 01:34 |
パッチギ!LOVE&PEACE
評価/★☆☆☆☆ (ユナイテッド・シネマにて鑑賞) ...続きを見る |
シネマ・ダグアウト -cinema du... 2007/06/07 21:47 |
パッチギ! LOVE & PEACE−(映画:2007年80本目)−
監督:井筒和幸 出演:井坂俊哉、中村ゆり、今井悠貴、藤井隆、清水優、でんでん、西島秀俊、手塚理美、風間杜夫 ...続きを見る |
デコ親父はいつも減量中 2007/07/21 13:15 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
そっかぁ・・・見る前に批判するとアホにされるのか(笑) |
kossy URL 2007/05/18 12:58 |
『俺は…』の感想楽しみにしてます! |
aiai 2007/05/19 14:56 |
こんにちは♪ |
ミチ URL 2007/05/22 09:22 |
ミチ様 |
aiai 2007/05/23 00:03 |
| << 前記事(2007/05/09) | トップへ | 後記事(2007/05/30)>> |